介護保険の負担割合について
介護保険は、所得によって負担する割合が異なります。
これまでは、1割負担を基本とし、所得によって2割負担が原則となっておりました。しかしながら2017年5月に参院本会議にて介護保険法の改正が決議されたことにより、2018年8月より所得によって介護サービスの自己負担割合が3割に引き上げされる方が出てくることになりました。
以下、介護保険の負担割合である1割、2割、3割の所得基準について解説いたします。
【 介護保険の負担割合を決める所得基準 】
介護保険の負担割合の基準がどの程度の所得で変わるのか、以下の表でご説明いたします。
負担割合
所得基準
1割負担
以下に当てはまらない方
2割負担
合計所得160万円以上
単身世帯:年金+その他の所得=280万円以上(年金のみの場合は280万円以上相当)
夫婦世帯:年金+その他の所得=346万円以上
3割負担
合計所得220万円以上
単身世帯:年金+その他の所得=340万円以上(年金のみの場合344万円以上相当)
夫婦世帯:年金+その他の所得=463万円以上
単身世帯で年金と年金以外の所得が280万円以上(月収23.3万円以上)、夫婦世帯で346万円以上(月収28.8万円以上)となる方が原則2割負担となります。
単身世帯で月収23万円、夫婦世帯で月収28万円となりますので年金以外の収入が確保できているケースが多いかもしれません。
「2017年・年金支給額の平均は国民年金5.5万円、厚生年金14.7万円」という数字が発表されておりますが、平均的な年金支給額は厚生年金受給者でも14.7万円程度になりますので、2割に負担に該当する世帯は、少なからず平均以上の収入がある世帯と言えるでしょう。
2018年8月からは、単身世帯で年金と年金以外の所得合計が340万円以上(月収28.3万円以上)、夫婦世帯で463万円以上(月収38.5万円以上)となる方は3割負担となります。
上記の収入を老後も得ることが出来る世帯は、年金以外の収入がある事がほぼ確実と言えるでしょう。老後も継続して働いているケースや不動産収入など安定した所得基盤を構築されていると考えられます。
そのため、多くの方は介護保険の自己負担割合が3割になることは希だとは思います。ですが、注意点が一つあります。
それは、法改正によって3割負担の対象者を政令(内閣が制定する命令)にて決めることが出来るようになったのです。
つまり、国会審議を通さずに3割負担の対象者を拡大することが出来るようになりましたので、従来よりも簡素に手続きをすることが出来るようになったと考えるべきでしょう。
超高齢化社会で社会保障制度の崩壊が懸念される昨今ですので、対象者が急速に拡大する、というリスクがあることを十分に認識しておく必要があると言えるかもしれません。